廃置分合議決前に電算統合システム統合経費予算計上の動き

合併の枠組みから離脱した場合、誰が責任を取るのか


 11月25日の上越地域14市町村合併担当課長会議で、市町村合併に伴う電算システム統合経費約17億円は関係市町村が早い機会に補正予算で対応するとの方針が示されました。上越地域14市町村は合併協議の真っ最中で、いまのところ、合併を正式決定する関係市町村議会の廃置分合議決は6月ころになる見込みですが、それを前に17億円もの財政支出をどうするか、各議会の対応が注目されます。

 同日明らかにされた「市町村合併に伴うシステム統合計画書(中間報告)」によると、システム統合作業は合併する各団体の運用の違いもあり大変複雑になる模様で、基本方針としては、「上越市の稼動システムに各町村のデータを取り組むことを基本にする」としています。また、「基幹系システム統合に係わる概算費用」は、住民記録システムなどシステム関係で6億5700万円、諸経費4536万円、機器・追加ライセンス経費2億1764万円、町村データ移行経費7億545万円で、税込み合計が17億672万円あまりになるとはじき出しています。

 こうした経費の支出は合併をすすめるうえで必要なものですが、問題は合併の正式決定前に関係市町村に財政支出を求めていることです。関係14市町村の中には、上越市のように、住民投票を求める請願が出されたところもあれば、すでに住民投票条例を持ち、いつ具体化するか検討する構えをみせているところもあります。はっきり言って、14市町村の合併の動きが不動のものとはなりえていないのです。こういうなかで、システム統合経費の支出は、関係議会で廃置分合議決をしてからするのがスジというものです。報道されているように、システムの統合整備作業が約1年かかるなら、合併期日もそれに合わせて決める措置をとるべきです。いまの段階から作業に入り、財政支出をした。ところが、その後、14市町村の中で合併に加わらないところがでた。その場合、一体誰が責任をとるのでしょう。

関係議会での本格的な議論はこれからなのに、合併協では合併期日を決定

 今回の問題が浮上したのは20日の上越市での合併検討委員会です。ここでシステムの統合整備に約1年かかり、その経費が約17億円もかかるという中間報告が口頭でされました。中間報告書が正式に出たのは25日です。市町村の幹部の中にもまだ読んでいない人もいるし、議員にもほとんど配られていないというのが実態でした。当然のことながら、報告書の内容を十分把握したうえでの議論はこれからです。

 ところが26日に開催された第3回上越地域合併協議会では、合併期日を従来の方針通り、平成17年1月1日でさっさと決めてしまいました。合併期日を平成17年1月1日とすることは、システム統合整備に要する期間からいって、合併の正式決定前に財政支出をしなければできないことです。したがって関係議会は、事実上の「事後承認」という形でここ1、2か月の間にシステム統合関連の予算を通すことが求められます。私は「議会での審議のために、(合併期日は今回決めないで)もう少し時間をとってほしい」と提案しましたが、木浦会長は聞く耳を持ちませんでした。

 木浦会長は言いました。「合併期日については平成17年1月1日ということで関係住民に知られ、定着している。廃置分合議決前に電算システム関係予算約17億円を関係市町村議会で予算化しても違法にはならない。全国でもそういうところがある…」。17億円もの支出について議会の本格的な議論がこれからなのに、関係議会が通すのは当然だといわんばかりの発言、これが合併協議会の最高責任者のものとは驚きです。こんな乱暴なすすめ方は許せません。
(11月30日)


 醸造科よ、ありがとう」と同窓生も旧職員も集まった
  吉川高校醸造科の閉科記念式典

 全国で唯一の高校醸造科として注目され、吉川町を広く紹介する役割をも果たしてくれた吉川高校醸造科は来年3月末をもって47年の歴史を閉じることになっています。これに先立ち先週の14日、閉科記念式典がおこなわれました。在校生のほか、同窓生、旧職員など約160人が参加し、思い出を語り、これからを語りました。(写真は記念碑の除幕式)

 吉川高校の醸造科は1957年(昭和32年)に全国で4番目の高校醸造科としてスタート。最高時、5つあった醸造科は次々と閉科され、地域住民との強い連携に支えられて最後まで残ったのが、この町にある醸造科でした。これまで1379名の卒業生を社会に送り出してきました。

 記念式典で実行委員長を務めた田中辰也同校同窓会長は、「全国でもめずらしい学科として優秀な生徒が集まり、卒業生は全国の醸造関係や食品産業で活躍している。時代の趨勢とはいうものの、閉科は残念だ」と挨拶しました。

 
「できることなら閉科せずに、いつまでも存続してほしかった

 十日町市から通学している醸造科3年生の池田竜造君は、「科の最大のイベントは醸造実習。いざ実習となると、何をしていいのか分からなかったが、作業に入ると杜氏さん、先生から笑顔が消えた。真剣とはこういうものかと思った。4ヵ月後、僕たちの造った酒を飲んだ父親が『うまい!』といってくれたが、なによりの言葉だった」「できることなら閉科などせず、いつまでも存続してほしかった。僕たちは最後の卒業生であることに誇りを持って歩んでいく」と、思い出と決意を語りました。醸造科生徒募集停止から約2年、池田君たちは、後輩が入学してこないさびしさを味わいつつも醸造科でしっかり学んできました。それが自信となり、誇りとなっています。全国で唯一の「高校生が酒を造る学校」の地元住民として、うれしくなる言葉でした。

「頸北の地に家を新築したら、卒業生が清酒の一斗樽を送ってくれた」

 醸造科で学び、醸造科を愛してきたのは教師のみなさんも同じ。醸造科設置の1957年に広島から雪深い吉川にやってきて、醸造科の黄金時代を築いた満田誠二さんの思い出話も印象に残るものでした。全国的に醸造科生徒の数そのものが少ないため、既存の教科書は無し。ほとんど教科書らしきものが無いなかで授業をスタートさせ、仲間の教師たちが手づくりで全文約2600ページの教科書を書き上げました。宿泊実習では、生徒たちと真剣勝負、「生徒からはコンチクショウと思われることがあったかも」と語ります。いつの頃からか、「満田先生はカレーライスを食べられない」というウワサが広まり、先生も生徒も献立を考えるのに苦労します。そういうなかで、夜間、食用ガエルを捕まえ、実習時のオカズにすることもありました。
 あとで聞いた話ですが、吉川高校に着任してから10数年後、満田さんは頸北の地に自分の家を建てました。その時、卒業生たちから思いがけないプレゼントがありました。清酒「白鶴」の一斗樽が送られてきたのです。これは新築のお祝いという意味だけでなく、高校の地元に根付いて教育に打ち込む決意をした教師への感謝の印でした。

 47年間、様々なドラマをつくり、地元にも大きな貢献をしてくれた吉川高校醸造科、私たちは決して忘れることがないでしょう。醸造科よ、ありがとう。
(11月23日)


衆議院選挙、吉川町で日本共産党はほぼ前回並みの得票


 11月29日投開票された吉川町での衆議院選挙の結果が確定しました。

 小選挙区では、民主党の筒井信隆氏が票を大幅に減らしながらも前回に引き続き1位となりました。日本共産党の阿部正義氏は、前回より28票伸ばしましたが、4位でした。2位は自民党の新人・高鳥修一氏、3位は保守系無所属の風間直樹氏。

 比例代表区で日本共産党は291票を獲得しました。得票数は前回衆院選よりも21票減となりましたが、得票率では8.93%となり、前回より前進しました。ちなみに、上越地方の22市町村のなかで、日本共産党の比例代表区得票率順位は第1位が松之山町で、吉川町は第2位となりました。

小選挙区

候補者名 所属政党 今回得票 今回得票率 前回得票 前回得票率
つつい信隆 民主党 1682 49.4% 2020 52.5%
阿部正義 日本共産党 200 5.8% 172 4.5%
風間直樹 無所属 588 17.3%
高鳥修一 自由民主党 934 27.4%

比例代表区

政党名 今回得票 今回得票率 前回得票 前回得票率
社会民主党 342 10.5% 583 15.9%
自由民主党 1198 36.8% 1508 41.0%
公明党 200 6.1% 177 4.8%
日本共産党 291 8.9% 312 8.5%
民主党 1225 37.6% 829 22.5%




第2回合併協で、合併方式、新市の事務所の位置などを決定

 第2回上越地域合併協議会が30日、上越南厚生会館で開催されました。この日の協議事項は、合併方式、合併期日、新市の事務所の位置、各種事務事業の取り扱い(その1)の4つ。このうち、合併期日を除いて原案どおり決定しました。

 合併方式は上越市への編入

 合併方式は上越市への編入合併とする。ただし、気持ちは新設とし、対等、平等の立場で合併協議をおこなう。合併協議会の幹事会では、この下線をつけた部分について、協議会で確認するとのことでした。しかし、合併方式について説明した事務局も木浦会長も最初の段階では、触れようとはしませんでした。

 私は、この点について確認を求めるとともに、木浦会長が第1回合併協の挨拶で触れた「協議会においては、上越市長という、会長とは別の立場から発言することもあるのでご理解願いたい」という発言について言及、「会長は市町村間協議の責任者であり、調整役に徹するべきだ。もし、上越市長としての発言が必要なら他の(上越市の法定協)委員から発言してもらえばいいことだ」と主張しました。

 木浦会長は、「編入合併であっても、新設の気持ちで、対等、平等の協議をおこなう」という考えは変わらない、とのべました。しかし、「上越市長としての発言」については譲りませんでした。今後の協議で、会長が自分の自治体の立場から発言を繰り返すことがあれば、いったい誰が調整役をやるのでしょうか。

 合併期日は再検討を、の声も

 新市の事務所の位置については、現在の上越市役所を本庁とし、他の町村には支所をおくことで決まりました。また、すでに14市町村で合意している事務事業についても確認しました。

 注目の合併期日については、板倉町の委員が平成17年1月1日という原案の再検討を求めました。合併期日は、次回の協議会で決まる見込みです。
(11月3日)


「町や議会の動き」一覧へ        トップページへ