北陸研究センターが遺伝子組み換えイネの屋外実験強行
 農業団体、消費者団体などが団結して反対行動

 中央農業総合研究センター・北陸研究センターは31日、遺伝子組み換えイネの屋外栽培実験における田植えを強行しました。田植えが行われた上越市稲田の同センターには、実験に反対する農業団体、消費者団体などのメンバーが結集し、実験の即時中止を求める決議を採択し、片山センター長に中止を迫りました。

 田植え前、同センター前広場に集まったのは、地元の上越有機農業研究会やJAえちご上越労働組合、日本農民組合、「にいがた食と農と健康、教育のネットワーク」構成団体など約100人。拡声器の使用を禁じられていたので、各団体の代表は生の声で、「遺伝子組み換えイネは消費者に敬遠される。ここで作ることはイメージダウンにつながる。やめてほしい」「地元の合意も得ていない中での植え付けは許されない」などと訴えました。(写真は決議文を読み上げる吉川区の天明伸浩さん)

 この日の田植えは公開で行われました。講堂前で9時から受付、実験ほ場で田植えが始まったのは当初の予定されていた9時45分より少し早めでした。農家の関心は高く、田植え時の見学者数はマスコミを含めて200人近くになりました。田植え開始と同時に、「やめなさい」「上越のコメをどうする気だ」「やめろ、やめろ」という怒りの声が数人の田植えをしている人たちに浴びせられました。また田植えの説明をした職員に対して、農家の人たちが「可食部には発現しないと言ってきたのに、今の説明は何ですか。玄米では発現するのか、しないのか」と詰め寄る場面もありました。

 同センターによると、今回の実験は今年度と来年度の2カ年計画で実施予定とされています。植えつけた遺伝子組み換えイネは、センターが育成した「どんとこい」という品種に抗菌力を付与する遺伝子(カラシナ由来)を導入したものです。実験では、いもち病や白葉枯病に対する抵抗性がどの程度かの評価を行うとともに、試験研究用種子の採取も行うといいます。この日に植えたイネはこうした実験の一環で、いもち病抵抗性検定が目的とのこと。田植えをしたほ場は、高さ1.8メートルの金網フェンスで囲まれていて、一般農家の水田からは最短距離で約220メートル離れています。センターでは、花粉飛散防止対策として開花前に刈り取るので、交雑は起こらないと説明しています。

 次回の田植えは6月下旬の予定といいます。今回の反対行動に参加した上越有機農業研究会やJAえちご上越労働組合などの諸団体は、29日に横の連絡を取り合う「連絡会」を作って協議してきました。今後の実験についても連絡を取り合い、効果的な運動をすすめていきたいとしています。
(5月31日)



にいがた食と農、健康、教育のネットワーク」など5団体
北陸研究センターに遺伝子組み換えイネ実験栽培中止を要請

 上越市稲田にある北陸研究センター(旧北陸農試)で取り組まれている遺伝子組み換えイネの試験栽培は、今年度は、隔離ほ場での実施が予定されています。遺伝子組み換え作物に対する不安感があることにくわえ、同センターが情報を分かりやすく出していないこともあって、農業団体や消費者団体などの間で中止を求める声が広がっています。

 こうしたなかで27日午前、「にいがた食と農と健康、教育のネットワーク」(坂本典子常任代表委員)、えちご上越農協労働組合など5団体などの代表約20人が北陸研究センターを訪れ、消費者・生産者・関係者などの合意を得られない段階での実験の強行は即時中止するよう申し入れました。

 参加者の多くは、4月29日の同センター主催の説明会に参加した人たちです。この日も、『意見は聞くが実施は決まっていること』というセンター側の姿勢に批判の声が集中しました。農協労連の代表は、25日に泉田県知事が記者会見でのべた「良く住民の皆さんとコンセンサス(合意)をつくって頂く必要がある。それが出来ない中で強行するということはいかがなものか」という見解が示し、中止をせまりました。近くで稲作経営をしている農業者や生協組合員なども不安を訴えました。

 これに対して同センターの片山秀策研究官らは、「BSE対策をとれたのも(国内で)研究がやられていたから。遺伝子組み換えイネは国内でもすでに、ほ場で栽培されておりなんら問題は起きていない。ご意見はうけたまわるが、我々は粛々とやらなければならない」とのべ、隔離ほ場での試験栽培実施の姿勢を変えませんでした。

 5団体は23日に、上越市長に対してこの問題で要請しています。そこでは、「新潟県は良質米の主産県であることをふまえ、いますすめられている『遺伝子組み換え稲』の実験圃場における栽培実験について、即時中止するよう関係機関に緊急に働きかけ」を求めました。
(5月27日)

「市としても最大限の協力と連携を図る」
 県立柿崎病院の後援会組織化で市が準備会代表に回答

 既報の通り、柿崎病院後援会の組織化については、頸 北地域の旧町村長、市議らが集まって準備をはじめています。そのなかで、注目された点のひとつは、市がどういう形で後援会と連携してくれるかでした。

 準備会の代表をしている楡井辰雄氏(旧柿崎町長)がすでに、この点で市当局に申入れをしていましたが、このほど当局から回答がありました。それによると、「地域医療の確保や充実などの面から…市としても最大限の協力と連携を図る」としています。

 具体的には後援会組織がどういう内容の働きかけをするかによって違いますが、「病院の存続と機能充実」を働きかける組織とした場合、柿崎総合事務所に事務局を置き、連絡や経理を行う、会の運営に対する経費の一部を補助する、ことなどを明らかにしています。後援会の立ち上げは秋頃の予定、また、一歩前に出ました。
(5月27日)



上越市当局に要請
遺伝子組み換えイネほ場試験栽培中止働きかけよ
日本共産党議員団が要請

 中央農業総合研究センター北陸研究センター(上越市稲田)が取り組んでいる遺伝子組み換えイネの試験栽培に関して日本共産党議員団(杉本敏宏団長)は17日、上越市長に対して中止要請をするよう求めました。これは、遺伝子組み換え作物そのものが遺伝子汚染などを引き起こす可能性を持っているなど重大な問題を持っていること、コメを中心とした農業生産都市である上越市にマイナスイメージを与えることなどを重視したことによるものです。

 応対した中村修治農林水産部長は、「不安の声も上がっているので、昨日、今回の研究目的などを農業者などに分かりやすく説明してほしいと要請した」とのべました。この点では評価できるものですが、しかし同部長は、今回の試験栽培については必要なことで、安全性に配慮されているとの認識を示しました。

 上越市には全国的にも評価されている「食料・農業・農村基本条例」があり、そこでは食料のあり方について消費者などの安心を保障するものでなければならないとしていますが、同研究センターの説明を鵜呑みにするのではなく、もっと慎重に対応する姿勢がほしいと思います。このままでは、農業者などから強い反発が出ることは必至です。

 (参考:日本共産党議員団の要請文)

遺伝子組み換えイネの隔離ほ場試験栽培に関する要請書

 上越市長  木浦正幸 様
              2005年5月17日

                    日本共産党上越市議団   団長  杉本敏宏

 日頃から地域農業振興のためにご尽力いただき、心から敬意を表します。
 さて、標題の件でありますが、中央農業総合研究センター北陸研究センターなど4組織は、「導入遺伝子を可食部で働かせない技術、イネ遺伝子を使った新しい組換え体の選抜技術および野菜から取り出した病気に強い遺伝子などの、我が国独自の遺伝子組換え技術を統合して、複合病害抵抗性が付与された組換えイネ系統の作出に成功した」として、その実用化のために今年度から隔離ほ場試験栽培に踏み切りました。

 こうしたなかで関係農民、農業団体から大きな不安と不信の声があがり、反対の動きも出てきました。トウモロコシ、大豆などの場合でも明らかなように、遺伝子組み換え作物については、食べものとしての安全性の実験、検証が十分行われていません。また、非組み換え作物や近縁種への遺伝子伝播により遺伝子汚染・環境汚染を引き起こす可能性もあります。今回の試験栽培は、国民の主食であるコメにかかわるものだけに、国民的な理解と合意のないなかで試験を継続することは許されないものです。こうした声や運動が起きるのは当然のことです。

 ご案内のように、14市町村が合併した上越市は、全国の市町村のなかではトップレベルのコメ生産面積と生産量を持つ農業都市です。また当市は環境ISOにも取り組み、環境にやさしいまちづくりを推進しています。今回の試験栽培は、上越市のコメを中心にすえた農業振興に重大な影響を与えるとともに、市のイメージダウンにもつながりかねません。 よって、当議員団は、市当局が、中央農業総合研究センター北陸研究センターなどに対して今回の隔離ほ場試験栽培中止を働きかけることを強く要請いたします。 以上


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