« 地域経済の再生にむけて | メイン | 『短い、ひとことで言えるスローガン』が必要だった »

自治体学校最終日

 自治体学校最終日。楽しみにしていた岡田知弘京大教授の講演が行われました。「『地域主権改革』の内実と地方自治・地域経済の未来」と題する講演は90分にも及びましたが、いまの時点で、地方自治体議員が知っておかねばならないことを整理するとともに、どうしたらいいのかを解明してくれました。

okada100802.JPG

 講演の中でとても参考になったことのひとつは、民主党の「地域主権」論をどうみるかです。「国と地方の『役割分担』論を前提に、団体自治を重視しているが住民自治を軽視している。いまの憲法は人に主権を与えるものとなっているが、『地域』という無限定な存在にたいしてではない。いま必要なのは『地域住民主権』だ」との指摘は明快でした。昨年4月に民主党が打ち出した、政権獲得後3年目までに基礎的自治体のあり方の制度設計を進め、その後に第二次平成の合併を行う(700~800市町村にする)という構想は道州制導入につながっていることが明らかになっています。河村名古屋市長の「住民分権」論も「分け与える」という上から目線の考え方ですが、党や人が新たな用語を使って「改革」を語る時はその中身をしっかりと見ておかないといけないなと感じました。

 自治体合併や地方自治の今後についても重要な言及がありました。ひとつは自治破壊と矛盾の顕在化です。増田元総務相が「(合併は)負の面が多かったことは認めなければならない」と発言していること、西川一誠福井県知事が『「ふるさと」の発想』(岩波新書、昨年7月)のなかで、「(道州制や合併推進の)論理には、生きた住民が登場しない。地方自治とは、そこに生活する住民の意思をいかに汲み取るかが重要なのである」とのべていること、既存合併自治体の首長選挙でも有権者の多い都市部ではなくどちらかというと周辺部から出た候補者が当選していることなどが紹介されました。

 地方自治発展をめざして、様々な自治体でたくさんの創意と工夫がされていることも紹介されました。その中で、上越市の取り組みについても丁寧な言及がありました。上越市の「都市内分権」、地域自治の基盤づくりの取り組みについては(みなさんに)報告するたびに進化している。地域自治区は条例によって恒久化された。旧市部にも広がり28になった。さらに今年度からは地域活動資金が制度化された。8月28日(土)29日に、上越市で「地域自治組織」現地セミナーが行われるのでぜひ参加を、と宣伝もしていただきました。岡田教授の宣伝は説得力満点、聴くと参加したくなります。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.hose1.jp/mt/mt-tb.cgi/2584

コメント (2)

 自治体学校事務局です。ご参加お礼申し上げますとともに、熱い中、お疲れ様でした。
 事務局の不手際その他はご寛容いただいて、充実した3日間を明日の地方自治に生かしていただければ、本望でございます。
 今月末には、上越セミナーでお世話になります。

ホーセ:

 こちらこそお世話になりました。講演、リレートークともに充実していました。あとは、ちゃんと復習して実際の議会活動に活かすことが大事だと思っています。大学生協食堂での昼食は30数年ぶりでした。これからもよろしくお願いします。

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

2022年06月

      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

About

2010年08月02日 23:48に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「地域経済の再生にむけて」です。

次の投稿は「『短い、ひとことで言えるスローガン』が必要だった」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.34