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福島へ


 今朝は相馬市のホテルからの発信です。おはようございます。朝3時頃には起床し、昨日の視察のまとめをしているところです。朝食を食べる時間があるかどうか。以下はフェイスブックに書いたものです。

 「浪江、小高へ行くと分かりますよ。人がいませんから」そう言ったのは案内役を務める志賀さんだった。田んぼという田んぼは作付されていない。地盤沈下で水のはけない田んぼもある。道を走る車のほとんどは除染の仕事をしているトラックだ。海が近くなると、船や車がいくつも大地に転がっている。これは岩手で見た光景と同じだった。でも、こちら福島では復興の兆しは全く感じられない。聞こえてくる音はユンボのカタカタという音ぐらいなもの、あとは風の音だけだ。請戸小学校へ入ったら、視察メンバーの言葉が少なくなった。地震と津波に襲われた建物の中、体育館の床は陥没し、ガラスは片っ端から割れている。卒業生で還暦を迎えた人たちが学校へ贈ったのだろう、大きな鏡だけが運良く残っていた。子どもたちが遊んだであろうボールも転がっていた。廊下に黒いランドセルがあった。中身はまったくない。学校から2㌔ほどのところにある城跡へ子どもたちは逃げた。一人の犠牲者も出なかった。先生の誘導だけでなく、地元の地理をよく知る子どもたちの誘導が功を奏した。後ろから迫る津波、学校の先生は、「うしろを振り向くな」と言って子どもたちと一緒に走った。志賀さんが語ってくれた児童と職員の避難の様子が胸を打った。浪江駅前のモニタリングポスト、持っていた線量計よりも数値は半分くらいだ。志賀さんは言った。モニタリングポストの数値は低く抑えるようにしてあるようだ、あてにならないと。新聞屋さんの中には3年前の朝の風景がそのまま残っていた。ストーブの上のやかんの中には缶コーヒーだろうか、入ったままだ。温めて飲もうとしたのだろうが、そのまま逃げたのだろう。志賀さんは最後に言った。「地震はどこでも起きる。新潟でも福島と同じことやったら笑われますよ」。

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 バスは請戸小学校から山の中に入った。浪江町の「希望の牧場」へ向かっている。バスの窓から黒毛和牛の姿が見える。2頭、3頭、いやそんな数じゃない。何十頭も群れをなしている。小さな掘立小屋に様なものがこの牧場の事務所になっている。「希望の牧場 ふくしま」という旗が立っている。ここは福島第一原発から14キロだ。線量計の数値がぐんと上がった。牧場を管理している吉沢さんの話に惹きつけられた。吉沢さんは語った。原発が爆発した時、遠くで花火が上がったような音がした。町内では牛は1500頭くらい死んだ。水も出ない。餌も亡くなる。牛たちは死んでミイラになった。国からは殺処分の指示が出た。なんで、犬や猫のレスキュウを認めながら、牛は駄目なのか。絶対、国の言うことをきかないと心に決めた。ここでは当時も今も牛の数は330頭くらいいる。3日に1度、餌を運んだ。殺処分は証拠隠滅だ。生きた証拠として牛を飼っている。飼っている牛の中に10頭ほど白い斑点が出ている。内部被ばくによる突然変異が皮膚に起きたんではないか。浪江町の家は鼠と野生動物のすみかになっている。お墓は倒れたままだ。孤独死、自殺が増えてきている。仮設住宅で死ぬ人も多くなっている。棄民状態だ。いま、また原発の再稼働をしようとしている。原発の時代に逆戻りだ。3.11は終わっていない。オリンピックで震災復興は後回しになるんではないか。あと、2、3回原発事故が起きないと分からないんではないか。話をきいている間、すぐそばで3頭の和牛が泥につかりながらサイレージを食べていた。どうも酪酸発酵しているようだ。それでも牛たちは絶え間なく口を動かしていた。サイレージの山のなかのひとつのころにマジックでメッセージが書かれていた。「牛に罪はない 頑張れ! 応援しています」。また、涙が出た。

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 きょうは飯館村などを視察します。帰りは夜8時頃になる予定です。

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2014年07月19日 07:32に投稿されたエントリーのページです。

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