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壇ばらい、そして骨おさめ

 大島区にある母の実家の伯母が亡くなってほぼ2週間になりました。きょうは壇ばらいと骨おさめの日です。日中は少し動くと汗ばむほど暖かく、骨おさめするには最高の日でした。伯母の甥にあたるNさんから母の実家まで送ってもらいましたが、壇ばらいの開始時間よりも1時間も早い午後2時に到着しました。居間には小さな布団が敷いてあって、数日前、誕生したばかりの赤ちゃんが寝ています。伯母にとってはひ孫にあたるこの子の名前は「心路(こころ)」、壇ばらいにやって来た人たちが次々とそばに行き、「いい名前だねぇ」「ばあちゃんの生まれかわりだ」と言っていました。
 壇ばらいが始まるまで時間がたっぷりとあったので、ゆっくりと伯母の家の周りを散策しました。近くのブナ林が紅葉していてとてもきれいです。すぐ下にある家の柿の木も大きな葉が見事に紅葉していました。しかも太陽が西の方から光を浴びせ、葉はキラキラと輝いていました。伯母のことを思い出したのは、庭にある一本のナシの木の枯葉が一枚、落ちてきてカラカラッと音をたてた時でした。お盆泊まりに来た時、この家の裏にあった横井戸から冷えたスイカを出してもらったこと、私が本を出した時にはとても喜んでくれたこと、伯父が亡くなってしばらくしてから伯母も同じ病気になった時、「オラも早く逝きたいと思ってソ」と言ったこと……。
 壇ばらいがすんでから、集落の高台にある「大桜高台霊園」のお墓に骨おさめにみんなで歩いて行きました。5年前の伯父の骨おさめの時には雪でしたが、今回はまだ雪は無く、おだやかでした。舗装した道には落ち葉があって、歩くと、かさかさした音がしました。紅葉を楽しみ、おしゃべりしながら墓まで行きました。無事、骨おさめが終わって帰る時、何人かの人たちが近くのブナ林にいるキツネにだまされた話をしました。あれは、ばかされた人間でないとわからない感覚だ。ばかすのだったら、もっと若い女をばかせばいいのにね。そんな話が聞こえてきました。どうやら、伯母もばかされたようなのです。
 伯父の骨おさめでは鳥の鳴き声が印象に残っていますが、きょうは景色です。この高台から、紅葉した山々がよく見えました。それも見覚えのある山です。天明山(てんみょうさん)、吉川区と大島区の境にあります。母によると、旧旭小学校の子どもたちが必ず遠足に出かけた山といいます。従兄に「ひょっとすると、あの山の向こうに見えるのは尾神岳じゃない?」とききました。「そうだよ、尾神だ。ここから、ひとっとびだ」。母が生まれたところと私が生まれ育ったところを直線で結ぶと、こんなにも近く感じる。この感覚は初めてです。とてもうれしく思いました。


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2006年11月05日 00:00に投稿されたページです。

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